※令和元年(2019年)6月に動物愛護法が改正されました。
「動物の愛護及び管理に関する法律」がどんな内容なのか、わかりやすくご紹介させて頂きます。
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目的
第一条には、法律の目的が定められています。
人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的としています。
基本原則
動物には命があるということについて、しっかりと考え、動物をみだりに殺したり傷つけたりせず、その動物の習性を知り、人と動物が一緒に暮らしていけるように周りに配慮をしながら、適正に取り扱うようにすること。
9月20日から9月26日までを動物愛護週間とし、動物の愛護や適切な管理の普及啓発として、各地域でふさわしい行事を実施するよう努めること。
などが、定められています。
基本指針
環境大臣は「基本指針」を、都道府県は「動物愛護管理推進計画」を定め、公表すること。
動物愛護法を、実際にどのように進めていくのかを定めた基本指針、「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」については、環境省のホームページ「動物愛護管理指針」より確認することができます。
動物の適正な取扱い
この法律の対象となる動物とは、哺乳類、鳥類、爬虫類です。
「家庭動物」・・・家庭や学校などで飼われている動物
「展示動物」・・・動物園や水族館、ふれあい施設や販売、繁殖、撮影などが目的の動物
「畜産動物」・・・産業等の利用が目的の動物
「実験動物」・・・研究施設等の科学的利用が目的の動物
動物の利用目的によって、法律の適用される範囲が異なります。
動物の所有者としての責任
その動物の健康と安全を保持するように適正に飼養し、人に迷惑をかけないよう努め、自己の所有であることを明らかにするための措置(マイクロチップなど)を装着し、その動物がその命を終えるまで適切に飼養するように努めなければなりません。(終生飼養)
ペットショップやブリーダーなどの第一種動物取扱業者に限り、犬や猫にマイクロチップの装着と情報登録が義務化されます。
既に飼育している一般の飼い主に対しては、努力義務とされています。
動物取扱業者の登録
動物取扱業者の取扱う動物とは、畜産用、実験用は含まれず、哺乳類、鳥類、爬虫類をいいます。
・動物の販売、保管、貸出、訓練、展示、競りあっせん(動物売買オークション等)、譲受飼養(有料の老犬ホーム等)を営利目的で業として行う者は、事業者ごとに1名以上の常勤の動物取扱責任者を選任し、第一種動物取扱業の登録が必要です。
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登録番号などの定められた標識を提示し、5年ごとの登録の更新と、変更や廃業時の届出が必要です。
都道府県知事、又は、政令指定都市の長からの勧告や命令、立入検査や登録の取消業務停止命令などがあります。
特に犬猫等販売業者には、対面販売や、必要な情報の提供、獣医師との連携、出生後56日以前の引渡しや展示をしてはいけないなど、追加の義務がいくつか課せられています。
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・動物の譲渡、保管、貸出、訓練、展示を非営利目的で業として行う者は、都道府県知事、又は、政令指定都市の長に第ニ種動物取扱業者としての届出が必要です。
周辺の生活環境の保全
都道府県知事は、周辺の生活環境が損なわれていると認めるときは、必要な指導や助言、勧告や命令、立入検査をすることができます。
特定動物の飼養、保管の許可
特定動物(トラやワニなど、人の生命や身体又は財産に害を加えるおそれがある動物として環境省に定められている)の、愛玩目的での飼養、保管は禁止されています。
許可の申請には、いくつかの基準が定められています。
施設外飼養の禁止やマイクロチップ等による個体識別措置も義務づけられています。
都道府県等の犬猫の引取り
都道府県などは、所有者から犬又は猫の引取りを求められたとき、相当の事由がないと判断できる場合は、引取りを拒否することができます。
所有者のわからない犬猫の引取りを求められた際にも、周辺の生活環境が損なわれる可能性がないと判断できる場合は、引取りを拒否することができます。
動物愛護センターは、動物取扱業者を監督し、特定動物の飼養、保管の監督、一般の飼い主に対する指導や助言、勧告、命令立入検査などを行い、
引取りを行った犬猫については、所有者や飼養を希望する者に譲り渡すよう努め、愛護団体などに引取りや譲渡を委託するなど、殺処分ゼロを目指します。
動物愛護推進員
都道府県知事は、動物愛護推進員を委嘱するよう努め、動物愛護推進員は、動物愛護と適正な飼養の重要性について、住民の理解を深めるために、さまざまな活動を行います。
雑則
動物を殺さなければならないときや、研究や科学上の利用を行う際の取扱いについて、定められています。
環境省 動物の適正な取扱に関する基準
傷つけられている動物などの獣医師による通報義務や、動物愛護にたずさわった方々の環境大臣による表彰や、国から地方公共団体への情報提供などが定められています。
罰則
第四十四条からは、罰則が定められています。
・愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役または、500万円以下の罰金
・愛護動物に対し、みだりに衰弱させたり、病気や負傷していても適切な保護を行わず、排せつ物や死体が放置された施設で飼養したり、その他の虐待を行つた者、愛護動物を遺棄した者は、1年以下の懲役または、100万円以下の罰金
愛護動物とは、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる、
人が飼っている哺乳類、鳥類、爬虫類も含まれます。
その他にも、特定動物に関する規定に違反した際や、動物取扱業者に対する罰則などが定められています。
最後に
令和元年6月に動物愛護管理法が改正されました。段階的に施行され、令和6年6月までには、ほぼ全ての内容が施行されます。