ペットビジネスでの「一切責任を負いません」「一切返金しません」という契約は有効か?

ペットビジネスのこと

ペット関連サービスにおける利用規約の重要性

ドッグカフェやドッグラン、トリミングサロン、犬の幼稚園、ペットと泊まれる宿、しつけ教室、ペットホテル、動物病院、ペットシッターなど――。
ペットと飼い主さんの暮らしを支えるさまざまなサービスがあります。

こうしたサービスを提供する際、利用規約や契約書に「当店は一切責任を負いません」「一切返金しません」といった文言を入れることがありますが、これを書けば常に責任を免除できる、というわけではありません。

消費者契約法による制限

利用規約や申込契約書に「一切責任を負いません」「一切返金しません」と記載し、同意書に署名があったとしても、状況によっては「消費者契約法」に基づき、不当条項として無効となる場合があります。
つまり、事業者にとって都合のよい文言を入れても、それだけで絶対に有効になるわけではないのです。

バランスの取れた規約づくり

事業者と利用者は対等な立場であることが大前提です。
一方的に事業者だけが有利になるような規約ではなく、事業者とお客様双方にとっての権利と義務のバランスを考えながら、わかりやすい利用規約を作成する必要があります。

ペット施設におけるリスクと安全対策

ペット向けの施設では、子どもや動物同士のトラブル、咬傷事故などが起こりやすい環境です。実際に、設備や管理に不備があり損害賠償責任が認められた判例も存在します。

「ケンカになるかもしれない」「咬まれるかもしれない」「目が行き届かないかもしれない」など、想定できるリスクをできる限り洗い出し、注意喚起や安全対策を徹底することが求められます。そのうえで、利用規約や契約書をしっかり作成し、お客様に同意いただくことが重要です。

有効な免責規定にするために

例えば、

  • 「施設内での事故やトラブルに関しては、当店は一切責任を負いません」
  • 「○○の場合は返金できかねます」

といった免責条項を設ける場合でも、内容が合理的であり、適切に説明・同意を得たうえでなければ効力を持ちません。

まとめ

利用規約は、ひな型をそのまま流用するのではなく、一文一文を自分の事業内容に合わせて調整することが大切です。
事業者自身を守るためにも、大切なお客様やペットたちを守るためにも、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

ペット関連事業に関する利用規約の作成は、小林行政書士オフィスにお気軽にご相談ください。

参考記事⇒ トリミング、お預かり、しつけ教室など、ペットのお仕事での法律上の契約を考えることでのリスク管理とは?

⇒ 【ADR】もしも、ペットの事故やトラブルが起きてしまったら…。事業者様も飼い主様も知っておきたいADR制度とは?