犬猫用のご飯やおやつを作って販売するために必要な資格や手続き【ペットフード安全法】とは?

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ペットビジネスのこと

「カフェで犬用のケーキを作ってテイクアウト用に販売したい」

「人用のお菓子を製造販売しているが、新しく犬用にも商品開発したい」

「犬のご飯やおやつを作って販売する為に、何か特別な資格や許可が必要なのだろうか」

犬のご飯やおやつを製造し、販売する際には、必要な資格はありませんが、

ペットフード安全法の規定により、犬用のおやつを製造・販売する際には、農林水産省への届出と帳簿が必要になります。

犬用だけでなく、猫用のペットフード・おやつの製造、販売でも同様です。※輸入も含みます。

何も知らずに、犬や猫用のご飯やおやつを作ってイベントやお店でテイクアウト用に販売をしてしまうと、違法になってしまいます。

規格に合わない方法で製造販売をしていたり、届出をしていなかったり、帳簿をつけていなかったりなどの際には、罰則の規定もあります。

(個人でも1年以下の懲役や100万円以下の罰金、法人では1億円以下の罰金などがあります)

また、同時に人用の飲食を調理提供する際には、人用の衛生基準が適用されるため、注意が必要です。

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今回は、法人、個人を問わず、ペットフード(おやつも含む)を製造する際に必要な農林水産省での手続きについてご紹介させて頂きます。

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ペットフード安全法とは?

正式名称は愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律です。

ペットの健康を守るために定められた製造基準や表示基準、成分規格を厳守するとともに、

トレーサビリティ(原材料から生産、流通までの履歴をしっかり分かるようにすること)の確保のために、平成21年6月1日に施行されました。

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米国でのペットフードメラミン混入事件がきっかけ

平成19年3月に、中国産の小麦グルテンを使用したペットフードに有害物質のメラミンが混入されていたことが原因で、世界中で多くの犬や猫が亡くなりました。

この事件がきっかけとなり、日本では、ペットフード安全法が制定されました。

メラミンとは、耐熱性プラスチックの素材となるメラミン樹脂の原料となる結晶です。

メラミンを小麦に加えることでタンパク質の基準値が高い小麦グルテンを抽出することができるため、中国で意図的に混入させていたことが原因だといわれています。

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犬と猫が対象

犬と猫が食べるものが対象になりますが、対象にならないものもあります。

【対象になるもの】

・総合栄養食(いわゆるペットフードで主食となるもの)

・一般食(サイドメニューのようなおかずタイプ)

・おやつ

・ガム

・サプリメント

・ミネラルウォーター

【対象にならないもの】

・医薬品(薬事法によって規制あり)

・おもちゃ

・またたび

・猫草(ホームセンターなどで見かける植物で燕麦が主流)

・イートイン用フードやおやつ

・研究用

製造、販売、輸入を行う事業者が対象

法人、個人を問わず、事業者は、ペットフードの安全性の確保において重要な責任があります。

配合、加工(混ぜ合わせただけ、焼いただけ、細かく砕いただけ)の商品も製造に含まれます。

基準・規格に合わないペットフードの製造・輸入・販売の禁止、破棄、回収など

国が定めた製造基準、表示基準、成分規格に違反した際には、製造・輸入・販売の禁止や破棄、回収などの措置が命じられます。

有害物質が含まれる疑いがあったり、病原微生物により汚染されている疑いがあるときは、健康被害の拡大防止の為、一般公開もされます。

事業者の届出と帳簿の備え付け

製造、輸入を行う事業者は、農林水産省への届出が必要です。(変更・廃止・承継時にも30日以内に届出をすること)

製造、販売(商品を仕入れて売るという小売業者は除く)、輸入を行う事業者は、製造・販売・輸入の記録を帳簿に記載しなければなりません。

無通告での立入検査もある

国とFAMIC(独立行政法人 農林水産消費安全技術センター)から事業者に対して、業務に関する必要な報告を求められることもあります。

原則、無通告での立入検査も実施されます。

(原材料などを集取される際には、時価による対価の支払いあり)

罰則がある

●基準、規格を違反して製造、販売、輸入を行った、廃棄などの命令に従わなかった

・・・1年以下の懲役または、100万円以下の罰金(法人は1億円以下)

●届出をしていない、ウソを書いていた、立入検査や求められた報告を拒否した

・・・30万円以下の罰金

●変更や廃止、承継があったのに届出をしなかった、ウソを書いていた

・・・20万円以下の過料

●帳簿をつけていなかった、ウソを書いていた

・・・10万円以下の過料

FAMICの役員にも、違反行為があった際は20万円以下の過料

届出の際の5つのポイント

①犬用・猫用として製造したものを、テイクアウト販売をする際には、届出と帳簿が必要

ペットと泊まれる宿泊施設や、トリミングサロン、しつけ教室、ドッグランなど、人用の飲食を提供しない施設で、犬猫用のおやつなどを製造し店内提供する際には、有料無料問わず、許可届出の必要はありません。

テイクアウト販売時のみ、ペットフード製造事業者としての届出が必要です。

製造場所に関するキッチン等の規制(二層シンクの設置義務など)も、ありません。

※法的義務はありませんが、アレルギーや食事制限をしている犬猫も多いため、原材料等の明記は必要と考えます。

ペットフード安全法では、誰がいつどこで何を使用して製造されたものなのかを明確にするためのものであるため、製造した場所(施設)から、移動した場所(施設)で犬猫の口に入る場合は、原則、届出義務の対象となります。

飲食店で、犬用の食べ物をキッチンで製造する際には、規定があります。(シンクを分ける。犬用として販売されていたものの調理、盛り付け等する際は、キッチンを別に設置など)

※同時に人用の飲食を調理提供する際には、人用の衛生基準が適用されるため、注意が必要です。

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②農林水産省地方農政局、地域センターに届出

愛がん動物用飼料製造業者届出に必要事項を記入し、提出します。

③商品に日本語表記の義務

製造したフードやおやつの

①名称(犬用・猫用のものであることがわかるようにしておくこと。)、

②賞味期限、

③使用したすべての原材料名、

④原産国名(国を記載するため日本国内での製造の場合は、「日本」と必ず記載し、任意で地名を記載します)、

⑤事業者名及び住所、

を日本語で記載します。

その他、保存方法(高温多湿を避け、常温で保存。開封後は冷蔵庫で保管し、できるだけ早く使用してくださいなど)や、

与え方(細かくちぎって少量を与えてください)などは、任意ではありますが、事故やトラブルを防ぐためにも記載することをお勧めします。

④名称(商品名)に注意する

思い立ったままに商品名を決めてしまうと、ペットフード公正取引協議会や薬機法(旧・薬事法)に、違反してしまう場合があります。

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効能効果を表示するには、薬機法(旧薬事法)の基準に従う必要があります。

医薬品的な効能効果と判断される際は、動物医薬品となり、薬機法によって規制されるため、ペットフード安全法は適用されません。

薬機法とは、・・・「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

薬機法上の広告規制もあり、違反した際には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が課されます。

また、ペットフードの表示に関する公正競争規約(ペットフード公正取引協議会)に基づき、消費者に対して適正な表示をすることも必要です。

⑤製造・販売内容を記載して2年間保存

いつ、何を、どんな材料で、どれだけ作り、それをいつ、どれだけ販売したのか。

立入検査などがあった際にも、いつでも対応することができるよう、細かく帳簿に記載していく必要があります。

目的は、トレーサビリティの確保のため、仕入れた材料に関する情報から製造過程、保存状況などに関する記帳が必要です。

最後に

この法律の目的は、規制を行うことにより、ペットが口にするものの安全性を考えて、健康を保護するということ。

輸入業者や、法人だけでなく、個人でも同じ手続きが必要です。

「売れるかもしれないから、犬用のおやつをちょっと作ってテイクアウト用に売ってみようか」というだけでは、勝手に製造して販売することができません。

使用した材料からすべてを帳簿に記載をし、管理をしていくことができる事業者のみ、犬と猫用のご飯やおやつを作ることができます。

届出と記帳。少しだけ手間はかかりますが、難しいことはありません。

「知らなかった」ということで、製造・販売の中止や、事故やトラブルに発展することがないよう、少しでも参考にして頂けたら幸いです。

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犬猫用のフードやおやつを作って販売する際に、気をつけておきたい2つの注意点

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犬猫用のテイクアウト販売をお考えの際は、小林行政書士オフィスまで、お気軽にご相談ください。

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著書『ペットビジネスフィロソフィ

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