迷子の犬や猫を見つけたとき、飼い主がいることをわかっていて、そのまま持ち帰って飼ってしまうと、民法や刑法が適用され、飼い主より所有権に基づく返還請求や横領罪により、刑罰が処される可能性があります。
反対に、明らかに所有者がいないと考えられる犬や猫を見つけた際は、民法上では、所有権を取得することができます。(民法239条1 無主物占有)
今回は、犬や猫を見つけた際のやるべきことをご紹介させて頂きます。
動物は、すべて「動産」
民法上、動物はすべて「動産」として扱われるため、「人や法人」と同じではなく、土地や建物などの「不動産」でもなく、生き物ではありますが、車やパソコンなどと同様に「物」として考えます。
「物」であるため、所有者がいるのかいないのか、が重要な問題になります。
飼い主がいるかいないかの判断
見つけた犬、猫に飼い主がいるかいないかの判断として、警察庁の基準によれば、
「首輪及び鑑札の有無、拾得したときの状況等を総合的に判断する」とされています。
明らかに人に怯えていたり、威嚇、逃げ去るなど、人に飼われていない動物は、ある程度の判断ができるのではないかと考えます。
犬や猫を見つけたとき
犬や猫を見つけた際、飼い主がわかる場合は、すぐに飼い主に戻します。飼い主がわからない場合は、警察又は動物愛護センターなどに連絡する必要があります。
遺失物法
・遺失物法第4条1項により、
「速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない」
と、規定されています。
また、「動物の愛護及び管理に関する法律、第35条第3項に規定する犬又は猫に該当する物件について同項の規定による引取りの求めを行った拾得者については、適用しない。」と規定されていることにより、犬・猫を見つけた際は、動物の愛護及び管理に関する法律が適用されます。
動物愛護法
・動物の愛護及び管理に関する法律第35条では、
「都道府県等が所有者の判明しない犬又は猫の引取りをその拾得者その他の者から求められた場合、これを引き取らなければならない。
ただし、周辺の生活環境が損なわれる事態が生ずるおそれがないと認められる場合その他の引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合には、その引取りを拒否することができる。」
と、規定されています。
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民法・刑法
飼い主がいることがわかっていて、勝手に持ち帰って自分で飼ってしまうと、
所有権侵害に基づく返還請求や(民法第709条)、
遺失物等横領罪が成立し、刑罰が処される可能性があります。(刑法第254条)
明らかに所有者のいない犬・猫の場合
・民法第239条では、
「所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。」
と、規定されています。
首輪も何もつけていない子犬や子猫、衰弱・ケガをしているなど、明らかに所有者のいない犬や猫の場合は、動物病院に連れていき、そのまま飼育することは可能ですが、少しでも飼い主がいる感じがする場合は、警察や動物愛護センターへ連絡が必要です。
各都道府県の条例によっては、
「拾得者が動物愛護センター等に届け出る際、飼い主が見つからない場合は自らが飼い主となる希望があることをあらかじめ申し出ることで、適法にペットの飼い主となることができる」と規定されていますので、地域ごとに確認することが大切です。
狂犬病予防法
徘徊している犬がウィルスを持っているかどうか、という可能性も考えなければなりません。
・狂犬病予防法第6条では、
「市町村への登録を受けず、若しくは鑑札を着けず、又は狂犬病の予防注射を受けず、若しくは注射済票を着けていない犬があると認めたときは、これを抑留しなければならない。」
と規定されています。
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まとめ
犬や猫を見つけた際は、いろいろな状況を考え、行動しなければなりません。
ウィルスなどを持っている可能性はないか。
所有者がいるのではないか。
所有者がわかる場合は、その所有者のもとへ。
所有者がいない場合は、自分が、最後までこの子の飼い主になることができるのか。
引き取り先が見つかるのかどうか。
総合的に判断し、適切な行動が必要になります。
まずは、警察や動物愛護センターへ相談することが1番だと考えます。
少しでも参考にして頂けたら幸いです。
参考:『ペットの法律相談』7 青林書院
:岡山行政法実務研究会 「野生鳥獣と国家賠償法」
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